「エフィカシー」とは?種類と効果的な方法を徹底解説

「何となく満たされない。このままでいいのかな…?」

とくに大きな不満はないはずなのに、将来を考えると漠然とした不安を感じてしまう。そんな風に立ち止まってしまうことはありませんか。

その心の状態、もしかしたら「エフィカシー」が関係しているかもしれません。エフィカシーとは、目標達成のために「自分にはできる」と信じる力のことです。

エフィカシーが低いと、新しい一歩を踏み出す勇気が出なかったり、自分のやっていることに自信をもてなくなったりします。

この記事では、あなたの可能性を最大限に引き出す「エフィカシー」について徹底解説します。

現状を打破したいと思う方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

「エフィカシー」の意味とは?

エフィカシーとは、「未来のゴール」に対する「自己能力の自己評価」を指します。

目標を設定した時に、「自分ならできる!」という根拠のない自信がある場合には、エフィカシーが高いといえるでしょう。

新しいプロジェクトに挑戦する時、「大変そうだけど、きっと自分ならやり遂げられるだろう」と感じる。

初めてのプレゼンを控えて、「緊張するけど、練習したから大丈夫。きっと成功させられる!」と思える。

このような「できる!」という前向きな期待感や自信こそが、エフィカシーが高い状態です。

エフィカシーは、すべてのことに対して一律に高いわけではありません。人によって、仕事・学習・スポーツなど、特定の領域で高く発揮される傾向があります。

個性や能力によりこのエフィカシーが発揮される領域が異なるので、自分にとってのエフィカシーが高い領域を見つけることがとても大事になってきます。

エフィカシーが高い人の特徴

エフィカシーが高い人は、自分の可能性を信じられていることが特徴です。

今の自分にできないことがあっても、「きっとできるようになる」と未来の成長を信じて行動できます。

たとえば、まだやったことがない仕事だけど、絶対にできるようになるはずと書籍を購入したりと具体的な行動に移します。

また、小さな成功体験を大事にしている点も特徴として挙げられるでしょう。たとえば、「毎朝5分の読書を続けられた」「苦手な人に自分から挨拶できた」など、小さな成功を自信へと変えられます。

その前向きな考えが行動につながり、結果としてエフィカシーが高い状態をつくっていきます。

「自己肯定感」と「エフィカシー」の違いとは

似ている言葉として「自己肯定感」がありますが、「エフィカシー」の意味との違いはあるのでしょうか。

どちらも自己に対する肯定的な感覚を表す言葉ですが、対象が「自分の存在」なのか「自分の行動」といった点で異なります。

さらに具体的に、その違いを確認しましょう。

自己肯定感は自信の在り方の評価

自己肯定感とは、今の自分をそのまま受け入れられる感覚のことです。自己肯定感が高い状態の人は、自分という「存在(Being)」を肯定するので、たとえ失敗しても「ありのままの自分を受け入れられる」ことができます。

自己肯定感がない人は自分の短所ばかりにフォーカスしてしまい、「自分には価値がない」「自分はダメな人間だ」と感じやすい傾向があります。

他者と比較をして、劣等感を抱くことで深く傷ついたり、失敗から立ち直るまでに時間がかかることもしばしば。

そういった場合には、自分の価値観を見つめ直したり、セルフケアをしたりすることで自己肯定感を高める必要があります。

たとえ今は自己肯定感が低いとしても、過度な自己否定をせず「そんな自分がいる」ということを受け入れることから始めましょう。

エフィカシーは自身の能力の評価 

エフィカシーとは、自分の「能力の自己評価」を指します。

特定の課題や目標に対する「やればできる」という、自分の「行動や達成(Doing)」に対する自信が高い状態であります。

具体的には、「自分にはこのプレゼンを成功させる能力がある」「この困難なタスクをやり遂げられる」「新しいスキルを習得できるはずだ」といったものです。

エフィカシーが低い人は失敗を恐れて、簡単な目標しか設定しなかったり、難しい課題を避ける傾向があります。逆にエフィカシーを高めることで自分の行動に対する自信を持って取り組むことができるでしょう。

エフィカシーが注目されている理由3選

なぜエフィカシーが注目されているのでしょうか。

理由を以下の3つに分けて説明していきます。

  • コミュニケーションを活性化できるから
  • モチベーションがアップするから
  • パフォーマンスの向上につながるから

それぞれ確認しましょう。

コミュニケーションを活性化できるから

エフィカシーが高い人は、「自分の発言には価値がある」「他者との対話を通じて良い結果を生み出せる」という信念のもと、人とのコミュニケーションができます。

発言をためらったり、他者との関わりを避けてしまうのはエフィカシーが低い状態かもしれません。エフィカシーが高まると、臆することなく会議での発言やアイデアの提案などが積極的に行いやすくなります。

そういった行動ができるようになれば、チームや組織内の情報交換や協働が活性化することにつながり、コミュニケーションを活性化できるでしょう。

モチベーションがアップするから

エフィカシーの高さは、モチベーションアップにもつながります。

「自分なら目標を達成できる」「このタスクをやり遂げられる」というエフィカシーが高い状態の人は、「やってみよう」「頑張ろう」という意欲が高まります。

逆に「どうせ自分には無理だ」と感じていると、たとえ能力があっても努力するモチベーションがアップしません。

モチベーションアップのためにも、エフィカシーが高い状態は有利になります。

パフォーマンスの向上につながるから

エフィカシーが高いことは、仕事や学習における具体的なパフォーマンス向上に関係します。

エフィカシーが高い人は、より難しい目標に挑戦し、困難に直面しても粘り強く努力を続けられるため、成果が出やすくなるためです。

成果が出る人はそれだけ多くの経験が積めるので、その後のスキル習得のスピードアップや問題解決能力の向上などにもつながります。組織全体のパフォーマンスを高める上でも、従業員一人ひとりのエフィカシー向上が不可欠となるでしょう。

エフィカシーは、個人の成長・組織開発といった幅広い領域で、具体的な成果を生み出すための重要な要因として注目されているのです。

エフィカシーは3つのタイプに分かれる

実はエフィカシーは大きく次の3つのタイプにわけることができます。

  • 自己統制的自己効力感
  • 社会的自己効力感
  • 学業的自己効力感

それぞれ確認していきましょう。

①自己統制的自己効力感

一つ目のエフィカシーのタイプは「自己統制的自己効力感」です。

このタイプのエフィカシーは、自分の思考・感情・行動をコントロールし、目標達成に向けて自身を律することができることにつながります。

具体的には、下記のような自信が含まれます。

  • 計画通りに物事を進められる自信
  • 誘惑や衝動に打ち勝って、やるべきことに集中できる自信
  • ネガティブな感情やストレスをうまく管理できる自信
  • 困難に直面しても諦めずに、継続して努力できる自信
  • 自分の行動を振り返り、必要に応じてやり方を変えられる自信

自己統制的自己効力感が高い人は、自分で決めたことを「やり抜く力」や「自己管理能力」が高い傾向があります。「時間がない中でどう目標を達成するか」といった課題に取り組む上で、非常に重要なタイプのエフィカシーです。

②社会的自己効力感

2つめは「社会的自己効力感」です。

このタイプのエフィカシーは、他者とうまく関わって良好な人間関係を築き、社会的な状況で適切に振る舞うことができることにつながります。

具体的には、下記のような自信です。

  • 初対面の人とも自然に話せる自信
  • 自分の意見や感情を適切に表現できる自信
  • 他者の気持ちを理解し、共感できる自信
  • チームメンバーと協力して目標を達成できる自信
  • 対立や誤解が生じたときに、うまく対処できる自信

社会的自己効力感が高い人は、コミュニケーション能力や対人関係のスキルに自信を持っており、多様な人々と協力して物事を進めることが得意な傾向があります。

「良好な人間関係を築ける」という特徴や、チームでの協働といった側面に深く関わるタイプのエフィカシーです。

③学業的自己効力感

3つめは「学業的自己効力感」です。

これは、学習や学業的な課題において成功を収めることにつながります。

具体的には、次のようなものです。

  • 難しい教科や内容でも理解できる自信
  • 試験で良い成績を取れる自信
  • レポートや論文を書き上げられる自信
  • 新しいスキルや知識を効果的に習得できる自信
  • 学習目標を達成できる自信

学業的自己効力感が役立つのは、学生時代の学習だけではありません。

社会人になってからの学び直し・新しい業務知識や技術の習得・資格取得など生涯にわたる学習の場面で非常に重要になります。

「新しい知識を身につける」という意欲や、「理論的な背景を理解してから実践に移したい」という傾向にも関わるエフィカシーのタイプです。

エフィカシーを高めるために効果的な5つの方法とは?

エフィカシーが高いことのメリットがわかったところで、エフィカシーを高めるための効果的な5つの方法をご紹介します。

  • 適切な目標を設定する
  • 成功体験を積む
  • ポジティブなフィードバックを受ける
  • 新しい知識を身につける
  • コーチングセッションを受ける

それぞれ確認していきましょう。

適切な目標を設定する

エフィカシーを高めるためには、適切な目標設定をする必要があります。

目標が高すぎると失敗体験につながり、逆に低すぎてもやる気の向上につながらない目標になってしまうため、エフィカシーを高めることはできません。

エフィカシーを高める適切な目標設定に必要なポイントは、下記の3つです。

  • 頑張れば達成できる目標
  • 計測可能な目標
  • 100%コントロール可能な目標

頑張れば達成できる目標の場合、その達成に向けて具体的な努力や工夫が必要になります。

 

「頑張るプロセス」を経て達成できたときに、「自分の努力や能力によって成し遂げられた」という強い成功体験や成長となり、エフィカシーを大きく高めることができます

また、設定した目標が達成できたかどうか、あるいは目標達成に向けてどの程度進捗しているかを客観的に測定できるようにすることも大切です。

「もっと成長する」「効率を上げる」といった曖昧な目標だけでは、自分が目標に近づいているのか、達成できたのかどうかが不明確になりがちです。

成功体験として明確に認識できるように、定量的な目標も立てて客観的に測定できるようにしましょう。

 

さらに、達成できるかどうかがどうにもならない外的要因に大きく左右されてしまうような目標にするのは避けましょう。

達成できたとしても、それが本当に自分の能力や努力によるものなのかが分からなくなってしまうからです。逆に達成できなかった場合においても、何が原因だったのかが不明確になり、適切な改善点を見つけにくくなります。

そのため目標の達成が、自分自身の行動・スキル・努力によってコントロールできる目標に設定することが望ましいです。

加えて、結果に対しての目標だけでなく、その結果につながる「行動目標」を立てることも有効です。

エフィカシーを高めるための適切な目標設定は、成功体験を効果的に積み重ねるためにも、的確な振り返りを行うためにも不可欠な土台となります。

成功体験を積む

成功体験を積むことは、エフィカシーを高める上で最も強力で効果的な方法だとされています。

最初から大きな成功を目指す必要はなく、小さな目標でも構いません。まずは「朝6:00に起きる」のような目標を立ててチャレンジしてみましょう。

小さな目標や自分との約束を守り続けることで、エフィカシーを高めることができますよ。

自分自身の力で目標を達成したり、課題を乗り越えたりした経験は、「自分にはできるんだ」という揺るぎない自信に直結します。

重要なのは、「自分の行動によって、望む結果を得られた」という成功体験の感覚を得ることです。

ポジティブなフィードバックを受ける

上司・同僚・友人・家族・メンターなどの信頼できる人から、「あなたならできる」「あなたの〇〇という行動が成果に繋がったよ」といった、肯定的な言葉や評価を受けることも、エフィカシーを高めることにつながります。

とくに、自信を失っているときや新しい挑戦に踏み出している人に対しては、励ましや期待の言葉は自分自身の能力を信じる後押しとなるでしょう。

根拠のない褒め言葉ではなく、具体的な行動・努力・進捗に焦点を当てたフィードバックの方が、より効果的にエフィカシーを高めることができます。

新しい知識を身につける

新しい知識を学んだり、スキルを習得したりすることも、エフィカシーを高める上で非常に有効です。

これは、単に「知っている」「できる」ことが増えるだけでなく、「自分には学ぶ能力がある」「努力すればできるようになる」という自信を強化するからです。

また、新しい知識やスキルは、困難な課題に取り組むための「武器」になります。

そういった解決のために役立つ知識やスキルをもっているだけで、「自分には対処できるはずだ」というエフィカシーにつながります。

コーチングセッションを受ける

エフィカシーを高めることを統合的にサポートする専門的なアプローチをするのが、認知科学のコーチングです。

コーチングのセッションを受けることは、あなたが自分自身の能力や可能性を再認識し、「自分にはできる」という感覚を内側から育むことにつながります。そして、その育んだ力を実際の行動や成果につなげていくために強力な伴走をしてくれます。

あなたが現状を打破し、望む変化を起こしたいと考えているなら、認知科学コーチングはとくに効果的です。

「楽しみつつゴールに向かいたい」「モチベーションに頼らずゴール達成を叶えたい」そのように感じた方は、ぜひ下記の認知科学コーチングの記事を読んでみてください。

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認知科学のコーチングは、あなたが「このままでいいのか」という問いに対する答えを見つけ、より主体的に、そして力強く望む未来を切り拓いていくための、確かな原動力になります

コーチングを受けることで、目標が本当に効果的な目標なのか、エフィカシーを高めることにつながるのかの基準や考え方を知ることができるでしょう。

認知科学コーチングに興味を持ったら

エフィカシーを高めて自分が望む未来を手に入れよう!

エフィカシーを高めることが、あなたが「このままでいいのか」という状態から抜け出し、仕事でもプライベートでも、より主体的に望む成果を追求し、自己実現に近づくイメージが、具体的に湧いてきたのではないでしょうか。

1人でエフィカシーを高める実践をし継続するのは、非常に難しいです。

長年積み上げてきた自分の思考パターンや行動習慣を根本的に変えていく必要があるためです。

プロのコーチはエフィカシーを低下させるネガティブな自己評価や思考パターンに気づかせ、それをゴール達成に役立つものに変えていくサポートをしてくれます。

自分の可能性を最大限にするために、ぜひ興味がある方はコーチングを受けてみてくださいね。