「やる気はあるのに行動が成果に結びつかない…」
「想いはあるのに行動が伴わず立ち止まってしまう」
目標はありつつ、やる気だけが先行してなかなか成果が出ずに悩んでいる方も多いでしょう。
そんな方には、もしかしたら「GROWモデル」の考え方が役に立つかもしれません。
GROWモデルとは「目標達成を効果的にサポートする4つのステップ」のことです。目標達成までの道のりをGROWモデルなどで段階的に考えられないままでは、あちこちに手を出しながらも成果に結びつかない「迷走状態」に陥ってしまいます。
この記事では、自分で決めた行動を実行できるようになり、目標達成に導く方法をコーチングで使われる「GROWモデル」を用いて徹底解説します。
コーチングにおける「GROWモデル」とは?
GROWモデルとは、「質問を通して相手を目標達成へ導くコーチング手法」です。
Goal(ゴール/目標設定)、Reality(リアリティ/現状把握)、Options(オプションズ/選択肢)、Will(ウィル/意志)の4つのプロセスの頭文字から「GROW」と呼ばれ、現在では世界で最も広く使われているコーチングモデルの一つとなっています。
具体的には、まず自身の目標を明確にすることで、現状を客観的に認識します。その後、多様な選択肢を探り、具体的な行動計画を立てる流れです。
なお、GROWモデルは単なるアドバイスや指示ではありません。コーチングの基本姿勢である「相手の中に答えがある」という前提があるため、コーチングのセッションだけでなく、部下育成やプロジェクトの方向性確認やキャリア相談など、多様なシーンで活用できるでしょう。
GROWモデルの4つのステップと重要性
さっそくGROWモデルの4つのステップを確認しましょう。
- Goal(ゴール/目標設定)
- Reality(リアリティ/現状把握)
- Options(オプションズ/選択肢)
- Will(ウィル/意志)
GROWモデルにおけるそれぞれのステップの重要性を解説します。
①Goal(ゴール/目標設定)
GROWモデルの最初のステップは目標設定です。
目標設定をすることで、「何を達成したいのか」「どのような状態になりたいのか」を具体的にします。目標が曖昧なままだと、進むべき方向が定まらず、効果的な行動につながりません。
単に「売上を上げたい」ではなく、「3ヶ月後までに新規顧客を5件獲得し、売上を10%向上させる」といった数値を入れた目標が効果的です。
さらに目標設定において重要なポイントは、誰かに言われた目標ではなく、自身が心から望む目標を立てることです。GROWモデルで明確な目標を立てて、効率的な状態で目標を達成しましょう。
②Reality(リアリティ/現状把握)
次に現状把握をします。現状把握は「目標と現在のギャップを客観的に把握するステップ」です。
GROWモデルの第2ステップでは、目標達成を阻害するもの、自分自身が持っているスキル、利用可能な時間や人脈、などを洗い出します。目標に対して、今の自分はどこにいるのか、どんな障壁があるのかを冷静に確認しましょう。
なお、ここでは「主観的な思い込みや感情論」ではなく、「事実ベースで状況を分析すること」が鍵です。GROWモデルで自己認識が深まることで、現実的な選択肢や改善点が見えてきます。
③Options(オプションズ/選択肢)
GROWモデルの3つ目のステップでは、「目標達成のための選択肢」を考えます。「もし制限に縛られないとしたらどんな行動が考えられるか?」という視点で目標達成の手段を探してみてください。
ブレインストーミングのように、質より量を重視し、常識や既存の枠にとらわれることなく、できるだけ多くの可能性を探ることが重要です。
多くの選択肢を持つことで、状況変化への対応力を高めることにもつながります。新たな視点を得るために創造的なプロセスをGROWモデルで楽しんでくださいね。
④Will(ウィル/意志)
GROWモデルの最後のステップでは、選択した行動を実行するための意志を固めましょう。意志を持って行動することが、目標達成に向けた最終的な鍵となります。
どんなに素晴らしい目標や選択肢があっても、具体的な行動に移さなければ何も始まりません。
もし意志が弱い場合は、目標や選択肢を見直すことも大切であり、もし計画に心から納得していない場合は、結果的に実行されないままになってしまいます。
勇気を持ってやるべきことを自ら決断することで、自分で選択した行動には責任感と所有感が生まれ、GROWモデルを活用した継続的な目標達成につながりますよ。
GROWモデルのコーチングを受けるメリット
なぜGROWモデルのコーチングが良いとされているのでしょうか。メリットを以下の3つに分けて説明していきます。
- 主体的に行動できるようになる
- 漠然とした目標が明確化する
- モチベーションが向上する
それぞれ確認しましょう。
主体的に行動できるようになる
能動的に「自分で考え行動する」姿勢を持てることはGROWモデルの最大のメリットです。
GROWモデルでは意志を固めるステップがあり、コーチは答えを教えるのではなく、自分が納得できる答えを見出すまでのサポートをします。
人は他人から与えられた解決策よりも、自分で見つけ出した解決策に対して、より強い当事者意識と責任感を持ちやすいため、GROWモデルを活用することで主体性が芽生えて目標達成に近づくでしょう。
漠然とした目標が明確化する
漠然とした目標では、何から手をつけて良いか分かりにくいです。そのため行動が先延ばしになったり、努力の方向性が定まらなかったりしがちです。
現状を把握したら、次にあなたが本当に望む「理想の未来」はどのようなものかを具体的に描き、そこに到達するための目標を明確に設定します。
明確な目標は日々の行動に意味と目的が生まれ、モチベーションを維持するためのコンパスであり、GROWモデルにしたがって定めた目標は具体的な行動計画まで明確化されます。
特にコーチからの質問で深掘りすることで適切な目標設定が可能になるでしょう。
モチベーションが向上する
GROWモデルでは、自身で納得した目標を設定することがポイントです。自分で行動を選択し、意志決定をすることで内発的動機が強化されます。
そのため、「やらされている」ではなく「自分で決めた」という当事者意識が芽生えます。
また、現状把握や選択肢の検討を通して目標達成の可能性を実感できるようになり、「やればできる」という自己効力感を高められるでしょう。
GROWモデルのコーチングで注意すべきポイント
GROWモデルのステップと重要性がわかったところで、コーチングで注意すべきポイントを3つ紹介します。
- 自ら考えて行動することを意識する
- コーチとの信頼関係を構築する
- 継続的にセッションを受ける
目標達成のためにもおさえておきましょう。
自ら考えて行動することを意識する
GROWモデルを効果的に活用するためには、自身が自ら考えて行動することを意識する必要があります。
コーチからの「正解」を期待してしまう方もいますが、コーチの役割は質問を通じて思考を促すことであり、決して指示やアドバイスをすることではありません。
本来の効果を得るためにもコーチはあくまでサポート役ということを忘れず、自分の力で問題を解決することを意識しましょう。
コーチとの信頼関係を構築する
効果的なコーチングセッションには、コーチとの信頼関係が不可欠です。
安心して本音を話せなかったり、自分の弱みや課題を開示できなければ、深い内省や気づきは得られません。
もちろん、コーチとの相性、価値観も重要なので、「この人になら安心して本音を話せる」と感じられるコーチを探しましょう。
そして、この点を踏まえると相性が合わないと感じた場合は、遠慮なく別のコーチを検討するのがおすすめです。
継続的にセッションを受ける
人は過去の思考パターンに戻されやすい性質があるため、一度のコーチングでは効果を感じにくい傾向にあります。
今の結果は過去の積み重ねです。過去の自分を断ち切るために、今までの思考や行動パターンを断ち切って目標達成に繋げたいですよね。
そのため、コーチングは複数回にわたって受講するのが基本であり、信頼できるコーチからの承認や励ましがあると、モチベーション維持に重要な役割を果たしてくれます。
コーチのサポートを受けながら成功や失敗を重ねて試行錯誤を得て、大きな成長に繋げていきましょう。
GROWモデル以外のコーチングモデルにはどんなものがある?
コーチングのモデルはGROWモデルだけではありません。今回は、以下3つのモデルも見ていきましょう。
- CLEARモデル
- OSKARモデル
- SCARFモデル
これらのモデルはそれぞれ特徴があり、クライアントの状況やコーチングの目的に応じて使い分けたり、組み合わせて活用したりすることが可能です。GROWモデルと組み合わせてコーチングの効果を高めてみてください。
CLEARモデル
CLEARモデルは、5つのステップに分かれています。コミュニケーションを重視したコーチング手法です。
- Contract (契約):コーチングの目的と期待を明確にする
- Listen (傾聴):クライアントの話を深く聴き、理解する
- Explore (探求):感情、信念、価値観などを探求し、気づきを促す
- Action (行動):具体的な行動計画を立てる
- Review (評価):行動の結果を評価し、学習する
最初に期待値のすり合わせをしてコーチングの目的を明確にすることから始まり、最後はセッションの成果やプロセス全体を振り返って次につなげます。
CLEARモデルでは感情や内面への探求をより深く行い、学習と振り返りを大事にします。特に、感情的なブロックがある場合や、内省を通じて自己理解を深めたい場合に有効です。
ビジネスシーンでは、部下との1on1ミーティングや、チームビルディングの場面でCLEARモデルが効果的です。
OSKARモデル
OSKARモデルは、解決志向アプローチに基づいたモデルであり、以下の5つから構成されます。
- Outcome (成果):達成したい成果を明確にする
- Scale (尺度):現在の状況を数値化して目標達成度を測る
- Know-how (ノウハウ):クライアントが持つ強みや成功体験に焦点を当てる
- Affirm and Action (肯定と行動):小さな成功を肯定し、次の行動を促す
- Review (振り返り):行動の結果を振り返り学習する
GROWモデルが現状分析から始まるのに対し、OSKARモデルは理想の成果から逆算して考えます。「どうすればできるようになるか?」という解決策に焦点を当ててみてくださいね。
過去の成功体験を思い出させ、既存の強みやスキルを再認識させることで、自己効力感を回復させる効果を感じられるでしょう。
SCARFモデル
SCARFモデルは脳科学に基づいて人間の行動を分析した5つの社会的欲求に基づいたモデルです。
- Status (地位):相対的な重要性の感覚
- Certainty (確実性):将来の予測可能性
- Autonomy (自律性):選択とコントロールの感覚
- Relatedness (関係性):他者とのつながりの感覚
- Fairness (公平性):公正な扱いの感覚
特に、ストレスや不安を抱えているクライアントに対してや、組織マネジメントにおいて威力を発揮します。モチベーション向上や行動変容を促したい時に活用できます。
GROWモデルは対話の「構造」を安定させ、SCARFモデルはコーチングの「質」を担保するでしょう。
脳や心の状態が研究されている学問に基づいた認知科学コーチングは両方の良いとこ取りができます。
「願望をただの願望で終わらせたくない」「考え方から根本的に変えて目標を達成したい」そのように感じた方は、ぜひ下記の認知科学コーチングの記事を読んでみてください。
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認知科学のコーチングは、あなたが「成果に結びつかない」という現状にどのような考えが必要かを教え、より理想の自分になるための心強いサポートになります。
コーチングを受けることで、今の自分に必要な考え方や思考のクセを修正できるでしょう。
GROWモデルを活用して目標達成しよう!
GROWモデルを活用することで、あなたが「なかなか成果に結びつかない」という状況を打破し、具体的な行動に落とし込める目標を持てることが理解できたのではないでしょうか。
実際のところ、今までの考え方や行動は潜在意識に刷り込まれているため、GROWモデルを習得するのは非常に難しいです。
しかし、すでにGROWモデルを使いこなすプロコーチは、あなたの思考のクセを修正してくれます。
あなたの願望や目標を達成するために、興味がある方はコーチングを受ける行動を起こしてみてくださいね。